バックアップとスナップショットの違いを徹底解説!データ保護の基本をマスターしよう

「大事なデータが消えてしまったらどうしよう、と不安になることはありませんか?」

デジタル化が進む現代において、データの保護は避けて通れない課題です。
特にサーバーやパソコンの管理をしていると、「バックアップ」と「スナップショット」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
どちらもデータを守るための仕組みですが、実はその役割や仕組みには大きな違いがあります。
この記事では、ITに詳しくない方でも理解できるように、身近な例えを交えながら両者の違いを分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、自分の状況に合わせてどちらを選べば良いのかが明確に分かるようになっているはずです。

目次

バックアップとは?大切なデータを守る「金庫」

バックアップとは、元のデータとは別の場所に、データのコピーを丸ごと保存しておくことを指します。
例えば、大切な書類をコピーして、自宅ではなく銀行の金庫に預けておくようなイメージです。
もし自宅が火事になって書類が燃えてしまっても、銀行の金庫にあるコピーを使えば元通りに復元できます。

ITの世界でも同様です。
サーバーやパソコンの中にあるデータを、外付けハードディスクやクラウドストレージなど、別の場所に保存します。
バックアップの最大の特徴は、元のデータが入っている機器が壊れてしまっても、別の場所からデータを戻せるという点にあります。
これを「冗長性(じょうちょうせい)」と呼び、物理的な故障からデータを守るための最も確実な手段です。

バックアップは通常、定期的に行われます。
毎日夜間に実行したり、週に一度実行したりすることで、万が一の事態に備えます。
ただし、データ量が多い場合はコピーに時間がかかるという側面もあります。
それでも、長期的にデータを保管し、災害や機器の故障から守るためには欠かせない存在です。

スナップショットとは?システムの状態を記録する「しおり」

一方でスナップショットとは、ある特定の瞬間のシステムの状態を「写真」のように記録する仕組みのことです。
本を読んでいる時に挟む「しおり」や、テレビゲームの「セーブポイント」をイメージすると分かりやすいでしょう。
スナップショットを撮った瞬間の設定やファイルの状態が記録され、後からその時点の状態に一瞬で戻すことができます。

スナップショットの大きな特徴は、データのコピーを別の場所に作るわけではないという点です。
基本的には、元のデータと同じ保存領域の中に、「この時点ではこういう状態だった」という記録を残します。
そのため、バックアップに比べて作成にかかる時間が非常に短く、数秒から数分で完了します。
また、保存に必要な容量も、バックアップに比べると少なくて済むのが一般的です。

しかし、注意が必要なのは「保存場所」です。
スナップショットは元のデータと同じ場所に保存されていることが多いため、ハードディスク自体が物理的に故障してしまうと、スナップショットも一緒に消えてしまいます。
つまり、スナップショットは「設定を間違えたから一分前の状態に戻したい」というような、ソフトウェア的なトラブルからの復旧には非常に強力ですが、物理的な故障には対応できないのです。

保存場所と安全性の違い

バックアップとスナップショットの最も重要な違いの一つは、その「保存場所」にあります。
この違いが、そのまま「何から守れるか」という安全性の違いに直結します。

バックアップは、元のデータが存在するサーバーやパソコンとは物理的に切り離された場所に保存されます。
これにより、落雷による故障や火災、あるいは機器の寿命による故障など、物理的なトラブルが発生してもデータは守られます。
「卵を一つのカゴに盛るな」という格言がありますが、バックアップはまさにこの教えを実践している仕組みと言えます。

対してスナップショットは、多くの場合、元のデータと同じストレージ(保存装置)内に作成されます。
これは、スナップショットが「データの差分」を管理する仕組みであるためです。
スナップショットを作成した時点から変更があった部分だけを記録していくため、効率的ではありますが、元のデータと運命を共にしています。
そのため、スナップショットがあるからといって、物理的な故障に対する備えができているとは言えません。

作業スピードと復旧時間の違い

次に、作業にかかる時間と、データを元に戻す(復旧する)際の時間について比較してみましょう。
ここでも両者の性格の違いがはっきりと現れます。

バックアップは、データを丸ごと別の場所に転送するため、作成にはそれなりの時間がかかります。
データ量が数テラバイト(TB)にもなれば、数時間から丸一日かかることも珍しくありません。
復旧する際も同様で、別の場所からデータを書き戻す必要があるため、システムを元の状態に戻すまでには長い待ち時間が発生します。

スナップショットは、その名の通り「カシャッ」と写真を撮るような速さで完了します。
実際にデータをコピーしているわけではなく、データの管理情報を記録しているだけなので、システムを止めることなく一瞬で作成できます。
復旧も非常に高速です。
「あ、操作を間違えた!」と思った瞬間に、数分前の状態へ一気に巻き戻すことができます。
このスピード感こそが、スナップショットの最大のメリットです。

ディスク容量の消費量と効率性

バックアップとスナップショットのもう一つの大きな違いは、ディスク容量の消費の仕方です。
一般的に、スナップショットの方がバックアップよりも少ない容量で済むとされていますが、その理由を具体的に見ていきましょう。

バックアップの容量消費

バックアップは、原則としてデータの完全なコピーを作成します。
例えば、5MBのデータがあれば、バックアップを取ると追加で5MBの容量が必要になります。
もし初回に一度だけフルバックアップを取る場合、その時点でのデータ量と同じ容量がバックアップとして必要になります。
これは非常にシンプルで分かりやすい仕組みですが、データ量が増えれば増えるほど、必要なストレージ容量も膨大になります。

スナップショットの容量消費

一方、スナップショットはデータの完全なコピーを作成するわけではありません。
スナップショットは、ある時点でのデータの状態を記録し、その後の変更点のみを管理する仕組みです。
これを「差分(さぶん)管理」や「Copy-on-Write(コピーオンライト)」と呼びます。

例えるなら、バックアップが「本を丸ごとコピーする」ことに対し、スナップショットは「本の特定のページに付箋を貼って、その後の変更点をメモする」ようなものです。
そのため、スナップショット作成時点ではほとんど追加容量を消費しません。
スナップショット作成後にデータが変更されたり、削除されたりした場合にのみ、その変更部分を保存するために容量を消費します。

具体例で比較する容量消費

ファイルAからEの5つのファイルがあり、それぞれ1MBとします。
合計で5MBのデータが存在する状態から始めます。
このシナリオで、「バックアップ・スナップショットなし」「バックアップあり」「スナップショットあり」の3つのケースで容量がどう変化するかを比較します。

状況 バックアップ・スナップショットなし バックアップあり スナップショットあり
初期状態
(ファイルA〜E 各1MB)
5MB 5MB (使用中) + 5MB (バックアップ) = 10MB 5MB (使用中)
ファイルAを編集 5MB
(変更前のAは失われる)
5MB (使用中) + 5MB (バックアップ) = 10MB
(バックアップは変更前のAを保持)
5MB (使用中) + 1MB (スナップショット) = 6MB
(変更前のAの差分のみ保持)
ファイルAを削除 4MB
(Aは完全に消える)
4MB (使用中) + 5MB (バックアップ) = 9MB
(バックアップはAを含む5MBを保持)
4MB (使用中) + 1MB (スナップショット) = 5MB
(削除されたAのデータを保持)

解説

  • バックアップ・スナップショットなし: このケースでは、データの変更や削除が直接反映され、過去の状態に戻ることはできません。容量は純粋なファイルサイズのみです。
  • バックアップあり: 初回に5MBの完全なコピーを作成するため、常に「使用中のデータ」とは別に「バックアップデータ」の容量が必要です。ファイルAを削除しても、バックアップ内にはファイルAが残っているため、合計容量は9MBとなります。
  • スナップショットあり: スナップショットは「変更点」だけを記録します。ファイルAを編集すると、変更前のファイルAのデータ(1MB)だけが追加で保持されるため、合計6MBになります。ファイルAを削除した場合も、スナップショットが削除前のデータを保持するため、合計容量は5MBのままです。

このように、スナップショットは変更があった部分のデータだけを効率的に管理するため、毎回完全なコピーを作成するフルバックアップに比べてディスク容量の消費を大幅に抑えることができます。
特に、頻繁にデータが更新される環境や、複数の復旧ポイントを短期間で保持したい場合に、スナップショットの容量効率の良さが際立ちます。

どちらを使うべき?シーン別の使い分けガイド

バックアップとスナップショット、どちらが優れているというわけではなく、それぞれに適した利用シーンがあります。
ここでは、どのような時にどちらを使うべきかの目安をご紹介します。

バックアップを使うべきシーン
・サーバーの物理的な故障に備えたいとき
・数ヶ月前、数年前のデータを長期的に保管しておきたいとき
・ランサムウェアなどのウイルス感染によって、データが完全に破壊されるリスクに備えたいとき
・災害対策(DR:ディザスタリカバリ)として、遠隔地にデータを保管したいとき

スナップショットを使うべきシーン
・OSのアップデートやソフトウェアのインストールを行う直前
・システムの設定変更を試すとき
・短期間のうちに何度も復旧ポイントを作りたいとき
・開発環境などで、特定の状態から何度もテストをやり直したいとき

このように、スナップショットは「直前の作業ミスへの保険」として、バックアップは「最悪の事態への備え」として使い分けるのが正解です。

3-2-1ルールでデータを鉄壁に守る

データ保護の世界には「3-2-1ルール」という有名な鉄則があります。
これは、大切なデータを確実に守るためのガイドラインです。
具体的には、3つのデータコピーを持ち、2つの異なるメディアに保存し、1つは遠隔地に保管するというものです。

このルールをバックアップとスナップショットに当てはめて考えてみましょう。
まず、元のデータ(1つ目)があります。
次に、同じサーバー内にスナップショット(2つ目)を作成します。
さらに、別の外付けハードディスクやクラウドストレージにバックアップ(3つ目)を保存します。
これで「3つのコピー」が完成します。

次に「2つの異なるメディア」ですが、サーバー本体のストレージと、外部のクラウドストレージやテープドライブなど、異なる種類の媒体を使うことで、特定の機器の不具合による全滅を防ぎます。
最後に「1つの遠隔地」として、自宅やオフィスとは別の場所にあるデータセンターなどにバックアップを置くことで、地震や火災などの広域災害からもデータを守ることができます。
スナップショットだけではこのルールを満たすことはできませんが、バックアップと組み合わせることで、非常に強固な保護体制を築くことが可能になります。

クラウドサービスでのバックアップとスナップショット

最近では、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やGoogle Cloud(グーグル・クラウド)などのクラウドサービスを利用する機会も増えています。
これらのサービスでも、バックアップとスナップショットの概念は非常に重要です。

例えば、クラウド上の仮想サーバーであるインスタンスの状態を保存する際には、スナップショットが頻繁に使われます。
サーバーの構成を変更する前にスナップショットを撮っておけば、万が一設定ミスでサーバーが起動しなくなっても、すぐに元の状態に戻すことができます。
一方で、データベースなどの重要なデータは、マネージドサービスが提供する自動バックアップ機能を使って、別のリージョン(地域)に保存することが推奨されます。

クラウドを利用しているからといって、データが絶対に消えないわけではありません。
クラウド事業者の設備トラブルや、自分自身の操作ミスによってデータが失われるリスクは常に存在します。
そのため、クラウド環境であっても、バックアップとスナップショットの特性を理解し、適切に設定しておくことが、ビジネスの継続性を保つ鍵となります。

バックアップとスナップショットを組み合わせる最強のデータ保護術

本当の意味でデータを守るためには、バックアップとスナップショットの「いいとこ取り」をすることが重要です。
どちらか一方だけでは、データ保護としては不十分だからです。

理想的な運用は、日常的な作業の節目でスナップショットを撮りつつ、定期的に外部へバックアップを取得するという組み合わせです。
例えば、Webサイトの更新作業をする前には必ずスナップショットを撮ります。
もし更新に失敗して画面が真っ白になっても、スナップショットがあれば数秒で元の状態に戻せます。
これに加えて、毎日深夜にクラウドストレージへバックアップを自動送信するように設定しておけば、万が一サーバー会社で火災が発生しても、サイトのデータは守られます。

この二段構えの体制を整えることで、操作ミスという「日常的なリスク」と、機器故障という「重大なリスク」の両方から、あなたの大切な資産を守ることができるようになります。

比較項目 バックアップ スナップショット
主な目的 物理故障・災害からの復旧 操作ミス・設定ミスからの復旧
保存場所 別の機器・別の場所 同じ機器・同じ場所
作成速度 遅い(データ量に比例) 非常に速い(一瞬)
復旧速度 遅い(書き戻しが必要) 非常に速い(巻き戻し)
保存期間 長期(数ヶ月〜数年) 短期(数日〜数週間)
物理故障への耐性 強い 弱い(ほぼない)

まとめ

バックアップとスナップショットの違いについて解説してきました。
最後に、この記事の要点をまとめます。

・バックアップは「別の場所」にコピーを作る、物理故障に強い仕組みです。
・スナップショットは「その瞬間」の状態を記録する、操作ミスからの復旧に強い仕組みです。
・バックアップは時間がかかりますが、長期保存に向いています。
・スナップショットは一瞬で終わりますが、短期的な利用に向いています。
・物理的な故障から守るにはバックアップが必須です。
・作業の安全性を高めるにはスナップショットが便利です。
・両方を組み合わせることで、隙のないデータ保護が可能になります。

「バックアップは金庫、スナップショットはしおり」という例えを覚えておくだけでも、いざという時の判断に役立つはずです。
大切なデータを失ってから後悔しないよう、今日から適切なデータ保護を始めてみてください。
まずは、自分が使っているサービスにどのような保護機能があるかを確認することからスタートしましょう。

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